魚香(ユィシャン)の由来とは?
これは四川省成都の言い伝えです。昔、劉という商人が河辺に住んでいて、一家は皆魚を食べるのが好きでした。
そんな一家の物語です。
「息子や、今晩は何が食べたいの?」
「魚が食べたい!」
そんなとき偶然、魚売りのおじさんが通りかかります。
「女将さん、さっき捕まえたばかりの鯉は要りませんか?」
「要ります、要ります、うちの子が欲しがっているの」
「お母さん、今から魚を料理して食べるの?」
「これは大きな魚だからお父さんが帰るのを待って一緒に食べましょう。」
美味しい魚の醤油煮を食べたいから、沢山の調味料を用意しなくては。赤や緑の調味料は本当にきれい。
母は鯉の醤油煮をつくることに。魚の頭は大きいから、先ず細かく分ける。油で焼いた後、水を加え調味料を加えて弱火で調理。
さて、魚は焼けたけれども、魚を調理するのに残ったこんなに沢山の調味料はどうしたらいいか?
残った調味料を活かすことで生まれた魚香
せっかくだから、残った調味料をまた炒めて肉の細切り炒めにしよう。先ず油で材料を焼いてから、肉の細切りを入れて強火で炒める。
最後に酢、醤油等を加えて魚の生臭さを取って味を足した調味料を加えた後に皿に盛る。
オリジナルの肉の細切り炒めの一品がちょうど出来上がった頃、仕事が終わった劉主人が帰ってきました。
「この肉の細切り炒め、彼らは好きかしら……」
「お父さん、先にお母さんが作った肉の細切り炒めを食べてみてよ。」
「この味付けはあなたがきっと今まで食べたことがない味付けよ。」
「それじゃあ味見してみるか……、少し辛くて……、少し甘くて……、少し酸っぱくて……、とても香ばしい!息子や、母さんが新しく作ったこの料理の味は特別だぞ。口当たりもいい。お前も食べてごらん。」
「この肉の細切り炒めは色合いも良くて、味も美味い。どうやって作ったんだい?」
「この肉の細切り炒めの材料は全て魚の醤油煮に使った調味料の余りを炒めた物なの、だから味が濃厚で、いつもと違うのよ。」
「この肉の細切り炒めは間違いなくご飯が進むおかずだ!この肉の細切り炒めの調理の重要な秘訣は、酢と砂糖の絶妙なバランスよ。」
「お母さん、お母さんの作ったこの料理は何という名前なの?」
「魚の醤油煮の材料を炒めてできた味だから“魚香肉絲”にしてみようか!」
「魚香肉絲、これは良い名前だね!」
こうして、この魚香肉絲という四川料理はゆっくりと広まっていったと伝えられています。
現在、魚香の味は四川料理を代表する味となり、年寄りから幼子まで皆の口に合うご飯のおかずになり、皆のお腹を満たしています。