四川料理の中でも代表的な料理の一つ。 切り身の魚を、酸菜(高菜)と唐辛子・花椒などで味付けされたスープで煮込んだ、酸菜のほのかな酸味が、辛味の効いたスープの味に深みを与える絶妙な味の一品。
酸菜魚が生まれた経緯については多くの説があります。
ある人は、酸菜魚の始まりは重慶市江津県津福村と言い、またある人は、この料理は重慶市壁山県来福村と言います……
最も面白いのは重慶市江津県の津福村の発祥秘話
津福村に住む鄒氏は小川のほとりに住み、一家は皆小川で捕れた草魚を食べるのが好きでした。
「妻よ、新鮮な草魚を買ったから、昼は草魚の煮込みと、酸菜湯にしよう!」
先ず、草魚を捌く。魚の内臓を取り出して、魚の身をきれいに洗う。 酸菜を取り出して、酸菜をきれいに洗い、均等に切る。料理の下準備は完成し、鄒家は昼食を作り始めました。
「酸菜湯がもうすぐできるぞ。お椀に盛って次は魚を料理しなければな。」
「もうすぐ結婚式の行列が通るわ、先に新婦を見に行って戻ってから魚を焼きましょう。」
ここで、二人は厨房を離れました。
この時、捌かれた魚は皿の上でまだ活きていました。魚は突然皿を飛び跳ね、出来上がった酸菜湯の中に飛び込んでしまい、余熱で煮込まれてしまったのです。 賑わいを見終わった二人が再び厨房に戻って来ると……
「皿の魚は?どこに行った?この美味しそうな魚の香りは…」
なんと、酸菜湯の中に跳び込んだ魚は既に良く煮えて、美味しい酸菜魚湯となっていたのです。
食べてみると…これが美味しい!
二人と息子は偶然できた酸菜魚湯を食べ始めます。
「息子や、この酸菜魚湯はとても美味しいだろう。隣人の結婚式のおかげで我々は思いがけずこの美味しい物を手に入れたんだよ。」
「美味しい、こんなに美味しい物はお隣さんにも分けてあげようよ!」
その後、鄒氏は酸菜魚専門のお店を開きます。
酸菜魚はまたたくまに広がり、四川を代表する人気料理となっていきました。 重慶市の江津には今でも鄒氏酸菜魚という専門店があります。果たしてこの逸話は本当かいかに!?