棒棒鶏発祥の物語
これは清朝後期、四川嘉州の物語です。
現在の四川省楽山市にあたる嘉州のある家の男主人が端午の節句にお店を始めた友人を招いて宴をする準備をしていました。 客人を招くために妻は鶏の冷菜を作っていました。
ただ… 鶏の冷菜は本当に面倒で脚を縛った麻ひもをほどくのは本当、骨が折れる。
それを見ていた息子がお母さんのために煮あがった鶏を棒でバンバンと叩いたのです。息子に棒で叩かれた後の鶏肉を切ると、以前と比べて扱いやすくなった。そして、鶏肉もかなり柔らかくなりました。
妻が作った凉拌白条鶏
「蘇氏、これは私の妻が作った凉拌白条鶏です、どんな味か食べてみて下さい。」
「それでは姉さん(嫂子)の腕前を味見しましょう、んん、これは素晴らしい!口当たりが良くて、見れば食欲をそそり、後味も良く、たくさん食べても飽きないし、私のお店で作った物に比べて、より歯ごたえがあり風味も豊かで……姉さんにお尋ねします、この棒状の鶏肉はどうやって作られたのですか?」
実際に作ってみたがあの味が再現できない…
蘇氏は凉拌白条鶏の作り方を教えてもらい、帰宅後、直ぐに家で自分の妻に作り方を教えて作らせました。しかし、
「食べてみるとあの日食べたあの味とは違う…」
「そんなはずはないわ、きっと私が何か段取りを忘れた?……えっと……小さい子が棒で鶏肉を叩いていたのを忘れていたわ!」
蘇の妻はもう一度良い地鶏を煮込み、自分のお店の従業員を使って麺棒で鶏肉を叩かせたました。
「こうやって、鶏を平らになるまで叩くのよ!力を入れて、鶏の骨も叩き砕くのよ。鶏全体を柔らかくなるまで叩いてちょうだい!」
用意していた調味料をかけ、もう一度味見をしてみてみると、あの時の味が再現されていました。
棒棒鶏と命名、名物料理に
蘇氏はこの鶏の冷菜をさらに研究し、自分のお店の看板メニューにしようと考えます。
- まず良い地鶏を選ぶ
- 香料を入れ弱火で煮込む
- 棒で叩く時間をはかる
- いろいろな調味料を配合する。
- さらに、鶏肉を切る時、蘇氏は木棒で包丁の背を叩いて切った鶏肉は肉質が均等になり、細く切れることを発見します。
この料理にお店のお客さんたちの評判は上々。
「そうだ、棒で叩いてできたんだ。“棒棒鶏”と呼ぼう!」
こうして、「棒棒鶏」は嘉州の小さなお店から始まり、今や日本でも食べられる四川料理の定番となったのです。